009.  不思議発見

 いつだったか、どこの山からか羽田へと飛んで戻ってきた日のことだ。羽田からモノレールで浜松町へと出る。その日は日曜日で、浜松町駅に到着したのは夜の10時過ぎだった。乗客はみんなぐったり疲れてしまっているようで、ホームへ降りるのにも勢いがない。階段をさっそうと降りていく人も目に入らず、エスカレートを利用すべく列に並んでいる。その列がかなり長い、なんとも不思議な光景である。ぼく自身も長い列を作っている一人。全員が左側に、つまり「追い越される列」に立つことを選択しているのが長い列ができてしまった理由であった。右側はだれも降りる人がいなくて、きれいに空いている。こんなルールはいつどこでだれが決めたのか?

 ずい分昔、「お急ぎの方のために右側を空けて下さい」なんていうアナウンスを聞いたような気がするが、下りのエスカレーターで事故があって以来、聞いたことがないし、昨今聞くのは、「エスカレータ−を駆け登ったり駆け下ったりしないで下さい」なのである。それでも一度できたルールは墨守されていて、右側にボーッと立っていようものなら、後ろの人に突きとばされても仕方ないような空気が右側には漂っている。

 てなことで、ぼくも左側の列から抜け出ることができず、かといって右側を駆け下る元気もなく、頭の中では、「お急ぎの方は階段をご利用下さい」ってアナウンスしてくれればいいのに、と考えていた。

 とうとう62歳、つまるところは年のせいなのであろう。
  

2007/04/09 記


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