岩 崎 元 郎 の


 
   
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安倍奥・山伏~八鉱嶺と梅ヶ島温泉
 
 南アルプスに魅せられた登山者なら、だれもが一度は歩いてみたいと憧れるのが白峰南嶺。その南端に位置するのが山伏だ。山伏で山稜は、八紘嶺から十枚山へと続く安倍東山稜と、勘行峰へと続く西山稜とに二分する。安倍川源流のそれらの山々の盟主が、山伏である。ここでは山伏から八紘嶺への縦走をご案内、梅ヶ島温泉の一浴でピリオドをうつプランを紹介する。ただし、ぼくが歩いたのは二十年も昔の話しになるので、計画を実行する際には地元に登山道の状況など確認してからにして頂きたい。東京起点で考えると、一泊二日プラス温泉一泊の計画になる。

 静岡から梅ヶ島温泉行きのバスを新田で下車。登山口までは車道を一時間半以上歩かされるので、マイカーかタクシーを利用したい。沢沿いの道を少し歩くと、右へヨモギ峠への登りになる。峠からしばし急登が続くが、登りきれば右・山伏、左・山伏小屋の分岐に立つ。この日は山伏小屋泊まり。二日目、小屋から山伏までは二十分ほど。山頂直下はヤナギランの群生地、七月下旬には満開になる。新窪乗越に下ると右下が大谷崩、その縁に沿って登り返せば大谷嶺頂上。目の前に笊ヶ岳、悪沢、赤石、聖も遠望できる。五色ノ頭を越えると八紘嶺は目の前、手前の鞍部付近は急崖なので足運びに注意。最後のひと頑張りで八紘嶺の頂きに立つ。富士山を筆頭に三百六十度の展望には文句無し。下れば梅ヶ島温泉、この日のうちに帰京できないことはないが、冒頭ご案内したように、温泉にもう一泊する贅沢を味わってから帰宅したい。

 南アルプスというと、光岳以南を深南部として紹介されることもあるが、一般的には鋸岳から光岳までの山並が対象とされている。南アルプスは、「ぼくのお気に入り」である。贔屓の引き倒しではないが、陣地を少しでも大きくしたいと思って、富士川と天竜川の間が南アルプス・エリアと勝っ手に決めている。富士川と天竜川の間には大井川が深く割り込んで、南アルプスを二分しているが、大井川と富士川の間に割り込んでいるのが、ここに登場する安倍川である。南アルプス深南部、光岳以南に連なる南アルプス主脈筋は、池口岳から黒法師山、大札山まで朱線をつないでいるが、安倍川流域は山伏~八紘嶺が唯一の足跡。梅ヶ島温泉をベースに、この辺りの山々に登ってみようかなと思っているきょうこの頃である。

 梅ヶ島温泉は、「安倍川源流の深山幽谷という表現が適切な環境にあり、山梨県との県境に近い秘境の温泉郷である。旅館・民宿は十軒ほど、木造の素朴な旅館が多く、家庭的な雰囲気をもっている」と、ウィキペディアに紹介されていた。

 「1700年前に発見されたと伝えられ」と、述べられている割には大昔のことについては記述がなく、武田信玄の隠し湯として使われていたこともあったとある。湯治記録に徳川家康、秀忠の名前がみられることから、当時はそれなりに名を知られた温泉地であったようだ。幕末から明治にかけて、清水次郎長や乃木希典の名がみられるとあったのが、面白かった。泉質は硫黄泉、創傷や外傷に効能があると評価されていたとか。東海道新幹線静岡駅から路線バスで約二時間、ちょっと距離がある。

                                                        2015.1.15 記




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