岩 崎 元 郎 の


 
   
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大朝日岳と朝日鉱泉ナチュラリストの家
 
 日本国中山だらけ、従って東北にも名山は多い。安達太良山、吾妻山、蔵王、栗駒山、鳥海山、早池峰山、八甲田山、岩手山、岩木山いくらでも指は折れるが、雄大という視点から選ぶとすれば、朝日連峰と飯豊連峰を挙げることになるだろう。朝日連峰といい飯豊連峰といい、山がでっかいから昨今マナ板に乗せられずにいる。若い頃はよく登った。

 自分の登山人生を五期に分けて考えている。第一期は山と出会い、見よう見まねで登っていた高校時代、第二期は昭和山岳会で登山の基本を学んだ修行時代、第三期は昭和で学んだことをベースに蒼山会同人を創立、仲間を募ってあっちの山こっちの山を登りまくった自己研鑽時代、第四期は無名山塾を誕生させ、自分が学んだノウハウ・ハウツウを後輩に引き継ぐインストラクションの時代。古稀を迎える今年からは、自分のための山登りのウエイトを増やす、「自分の時代」にしたいと考えている。前述した「若い頃」というのは、第二期~第三期の頃だ。

 朝日連峰は、もちろん大朝日岳から以東岳へと、避難小屋を利用して縦走した。どこの避難小屋もきれいで、居心地が良かった。東北の山の避難小屋はどこもきれいだな、という印象を持っていた。そのときの山行も良かったが、祝瓶山から大朝日岳を越えて天狗角力取山への縦走が忘れられない。フェーン現象だったのか、暑くて暑くてノドがカラカラになって原へ下山、予約してあった民宿のドアを開けると、こんにちはも言わず、「ビール下さい」と声張り上げたことを思い出す。民宿のおかみさんが持ってきてくれたぎんぎんに冷えたビールの美味しかったこと。

 自分もトシをとり、同行してくれるメンバーも若くはなくなって、避難小屋を利用した縦走登山など計画できなくなった。重いザックを背負うなんてまっぴらゴメンだし、ヘッドランプの灯りで歩きはじめて、日が暮れる頃に避難小屋到着なんていうのも勘弁してほしい。誤解のないように書かせて頂くが、山登りが嫌いっていうわけじゃない。山登りは大好きだ。重いザックや長時間歩行はパスしたいというだけ、年相応の山があると思っている。大朝日岳は、縦走にこだわらなくても、往復登山ではなく、周回登山ができる。朝日鉱泉を起点に、鳥原山経由のコース、中ツル尾根、平岩山経由のコースと、登路は三本もある。前回登ったのがいつだったか記録をひっくり返さないと不明だが、コースは朝日鉱泉ナチュラリストの家に前泊、中ツル尾根を登って大朝日岳頂上に立ち、山頂直下にある大朝日小屋に泊まって、翌日、小朝日岳、鳥原山を経て朝日鉱泉に下った。

 朝日鉱泉は江戸時代から湯治場として賑わっていたらしい。やがて湯治が流行らなくなって寂れていたのを、現オーナーの西澤信雄さんが1975年7月、ナチュラリストの家として営業を開始した。炭酸カルシウムを多く含む塩化物泉で、胃腸病に効果がある。噴出時には透明だが、空気にふれると茶褐色になる。白いタオルはたちまち茶褐色に染まってしまうので、ご用心。建物の正面に大朝日岳を望む、居心地のいい宿である。

                                                          2015.2.15 記

 




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