岩 崎 元 郎 の


 
   
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雨飾山と雨飾温泉・小谷温泉
 
 雨飾山は、ぼくが大好きな山の一つである。「ぼくの新日本百名山」の一座に挙げた。好きな山はどこですかと聞かれたとき、山は全部好きですから一山選ぶのは難しいですね、と答えることにしている。質問者の多くは、そうですねと同意して鉾を収めてくれるが、「そこを曲げてあえて一つ選ぶとしたら」と迫ってくる方もいる。「一つというのは難しいです」と言葉を返すと、「いくつでもいいですよ」と、鉾を収める気配はない。

 雨飾山、鹿島槍ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、根負けしたぼくが挙げる三山だ。雨飾山はフトンビシ岩峰群と前沢奥壁、鹿島槍ヶ岳は荒沢奥壁北壁にぼくが開拓初登したルートがある、というのがその理由だ。甲斐駒ヶ岳は昭和36年7月、16歳の夏に初めて登った日本アルプスの一座だから。

 雨飾山、標高1,963m。谷川岳と同じ標高ということで、すぐ覚えた。当時は、山の標高は三角点の高さだった。後に実際の高さが明示されるようになったが、当時は、三角点のある山の標高は、三角点の高さがその山の高さとされていた。谷川岳はトマの耳に三角点があって、1,963mだったのだ。谷川岳は見事な双耳峰だから、トマの耳に立ってオキの耳を見れば明らかにオキの耳の方が高い。現在ではオキの耳の高さ1,977mが、谷川岳の標高ということになっている。

 閑話休題、雨飾山は新潟県と長野県の県境に位置している。新潟県側の登山口は雨飾温泉、長野県側の登山口は小谷温泉、どちらから登ってどちらに下ろうと、下ればドブンと温泉入浴ができるというのが、この山の大きな魅力だ。ぼくのお勧めは、1日目糸魚川から雨飾山荘まで入って一泊。今でこそ山荘前まで車が入るが、昔は林道終点から山道を歩いた。その頃は雨飾温泉ではなく、梶山新湯と呼ばれていた。湯舟に手足を伸ばし、明日への英気を養う。

 2日目は山荘を早めに出て、薬師尾根を登る。急登ではあるが、歩幅を小さくゆっくり足を上げていけば、やがて笹平に飛び出す。山荘から笹平まで約3時間、山頂まで40分ほど。静かで居心地のいい頂上だ。下りは小谷温泉にむかう。荒菅沢に下る枝尾根を急降下、徒渉点からフトンビシ岩峰群がよく見える。沢を渡ると素敵はブナ林に入る。山頂から3時間、下り切ればキャンプ場。ここから小谷温泉までは、車道歩き1時間半。温泉で汗を流してから電車に乗りたい。

 雨飾温泉は一軒宿、開湯時期は不明だが館内に1882年とされる効能書きがある古い宿だ。雨飾山荘とある通り、旅館というよりは山小屋に近い。雨飾山への最高の登山基地である。泉質はナトリウム―炭酸水素塩泉で、心地いい温泉だ。反対側の小谷温泉も、泉質は同じナトリウム―炭酸水素塩泉。山田旅館のほか数軒の宿泊施設がある。こちらは開湯1555年と言われる古くからの湯治場だ。

 昨今、登山口までマイカーでアプローチ、往復登山する人が増えているが、こちらから登ってあちら側に下る。あるいはあちらから登ってこちら側へと縦走登山で計画すると、醍醐味はぐんと増す。雨飾山は、「山と温泉」というテーマにぴったりの山だと言っていい。


                                                           2015.5.15 記

 




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