岩 崎 元 郎 の


 
   
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鳳凰三山と御座石鉱泉
 
 
南アルプスの雄、甲斐駒ヶ岳から南西にひと下りして登り返すと駒津峰、これから登ろうという人が英気を養い、山頂に立って下ってきた人がほっとひと息ついている。このささやかなピークから南西と南に二本の尾根が伸びている。南西にむかう尾根は、北沢峠に下り登り返して仙丈岳、塩見岳、赤石岳、聖岳、光岳と高峰を連ねる南アルプスのメインストリートになる。ぼくの地図には諏訪湖の上、守屋山から入笠山、横岳、甲斐駒、仙丈岳、赤石岳から光岳、さらに深南部の山々、黒法師山を越えて大札山まで朱線を引いてある。

 駒津峰から南にむかう尾根は、仙水峠に下り登り返してアサヨ峰、赤抜沢の頭を越え、観音岳、薬師岳、夜叉神峠へと伸びている。赤抜沢の頭の北東隣に遠望してもすぐそれと指摘できる岩塔が地蔵岳。地蔵、観音、薬師と並んでいるのが鳳凰三山だ。

 登山口は御座石鉱泉と青木鉱泉があるが、ここでは御座石鉱泉から登って鳳凰小屋に1泊、2日目観音岳を越えて夜叉神峠まで縦走するコースを紹介しよう。逆コースもアリだが、下りがしんどいので脚力に自信のない人は、本コースの方が安心。急登は四つん這いでも登れるが、急降下はころんだらどうしようという恐怖がつきまとうし、万一ころんだら大事に至りかねない。健脚者は朝立ちで問題ないが、脚力に自信のない人は御座石鉱泉で前泊しておくと、余裕をもって燕頭山にむかえる。

 新宿発7時のスーパーあずさ1号で韮崎着8時37分、御座石鉱泉まではタクシー利用して時間を稼ぎたい。登山届けをポストに入れ、準備体操を済ませたらいざ出発だ。いきなりの急登だが、歩幅を小さくゆっくり足を上げていけばどうっていうことはない。いかにも南アルプスらしい山深さを感じさせる森の中の道である。

 燕頭山を越えれば、目鼻がついたといってもいいだろう。ゆっくり足を上げていけば林の中に鳳凰小屋が待っている。オーナーの細田倖市さんは山小屋のオヤジ然とした寡黙な方だが、歌を唄わせると渋くていい声、いつだったか「知床旅情」を唄って頂いたが、感動モンであった。

 翌日は早朝に小屋を出たい。森の中の急坂を抜けると白砂の斜面、足が取られて登り難い所だ。右に地蔵岳を見ながら登り切れば、賽の河原だ。ひと登りで赤抜沢の頭。ここから観音岳まで辛い登りだが、盛夏には可憐なタカネビランジュがエールを送ってくれる。薬師岳にむかっては、まさに稜線漫歩。富士山、北岳・・・、目に飛び込む山岳景観はそれまでの苦労を吹き飛ばしてくれる。南御室小屋で大休止を取ってから、夜叉神峠をめざそう。峠からはひと下りで登山口バス停に到着する。ここから甲府駅まではタクシー利用が便利。途中、入浴施設に寄ってもらって汗を流してから電車に乗りたい。

 登山口にある御座石鉱泉は、ネットでみると評判が悪い。仲良くしているだけに、残念ではある。御座石とは、山名の由来になっている奈良法王が、鳳凰山からこの地に下ったとき、大石に腰を降ろして休息したことに依るらしい。鉱泉はフォッサマグナに沿って湧き出ているもの一つ。25度前後の酸性みょうばん泉で、皮膚病、火傷、骨折などに効能ありとされている。

                                                         2015.6.15 記

 




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