岩 崎 元 郎 の


 
   
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縫道石山と湯野川温泉

 縫道石山は東北百名山の一座、下北半島を代表する名峰である。標高626m、登山口の高さは300m強だから、300mちょっとの高度を稼げばいい。通常1時間で300m登れるとされているから、縫道石山は登りに苦労させられる山ではないと予想した。県別ガイド『青森県の山』で縫道石山の項をみると、歩行時間は2時間5分と案内されていた。「通常1時間で300m」と前述したが、中高年登山者といっても参加者の平均年齢が70歳近い我々の足では、1時間で稼げる高度は200m、良くて250mくらいなものだ。案内が2時間5分ということは、我々の足では3時間半から4時間見積もっておいた方が無難と考えた。

 2016年7月20日恐山寺泊、21日は宇曽利山湖の湖畔からぼくの新日本百名山「大尽山」を往復登山した後、縫道石山の登山口に近い湯野川温泉に移動した。下北半島にはいたる所に温泉がある。ここもその一つ。映画「飢餓海峡」のロケ地として知られるが、さすが本州の北の果てに位置しているので、観光客が溢れかえるという状況にはない。湯は冷え性・リュウマチ・神経痛・ストレスに効能がある単純泉で、温まる。夕食は、奇岩で知られる仏ヶ浦に近い所なので、海の幸がテーブル一杯に並べられた。北アルプスの山小屋より安い宿泊料金で、テーブルいっぱいにご馳走が並べられると、恐縮してしまう。

 翌22日の予定は縫道石山だったが、このところ続いていた悪天でコースが荒れているので中止、太平洋側の吹越烏帽子山に変更された。このとき登れなかった縫道石山を野辺地の平塚さんご夫妻の協力を得て、11月3日~5日に再チャレンジした。東北新幹線七戸十和田駅の改札口で平塚さんご夫妻に拾われたぼくとIさんのふたりは、ご夫妻の車で湯野川温泉へのドライブを楽しんだ。平塚さんの友人お二人が到着、明日の登山は総勢6人ということになった。夜半屋根を叩く土砂降りの雨の音に、びくびくしながら朝を待った。

 4日の朝には雨は上がっていた。8時、宿を出る。前方に見えてきた山は、上の方が白く染まっている。今年の新雪だ。ちょっと心配だが、ちょっとうれしい。間もなく登山口に到着、8時半歩き始める。入り口は笹藪だが、すぐにブナとヒバの森の中のよく踏まれた道になる。30分ほど歩くと木の間から縫道石山がよく見える。峨々たる岩山、とても登れそうには見えない。その先から10分ほど下るとコースは直角に右に曲がる。木々の中、コースは泥道で滑り易い。コース上に雪はない。所々急な箇所があって、木の根につかまってヨイショと掛け声を掛けて登る。ちょっとした岩場が出てきてロープ頼りに登る。急登で滑りそうな箇所もあるが、危険な箇所はない。

 登りきると山頂みたい、10時15分。なあんだと思ったが、そこは肩のような台地で、ファイナルピークはその先に積み重なる岩塊の上。岩の上には雪がうっすら残り、滑りそうで緊張する。慎重に登り切って「縫道石山」の山名板のある岩塊の上に立った。最後の10分の緊張感には、前回中止を決めた現地ガイドさんの判断に納得させられた。登頂の記念写真を撮り、10時45分下山開始。12時には登山口に戻った。


                                                       2016.11.15 記




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