岩 崎 元 郎 の


 
   
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十勝岳と白金温泉

 十勝岳は北海道の屋根、大雪山系の南に位置する十勝蓮峰の主峰である。標高2,077m、北海道では貴重な2,000m峰だ。日本百名山の一座ということもあって、日本全国から山好きが集まる。北西の麓、望岳台から十勝岳に立ち、美瑛岳を回って望岳台に戻るコースが多くの登山者を迎えている。

 トムラウシ山からオプタテシケ山を越えて十勝岳まで縦走できれば、最高に充実した登山になるであろうし、反対側、富良野岳から縦走しても楽しい。東京からは札幌に飛び、JRで美瑛、バスで白金温泉まで。旭川駅前から直通バスもある。まずは白金温泉で一泊。白金温泉の泉質は芒硝泉、硫酸イオンが主成分の鉱泉のうちナトリウムイオンの多いもの。神経痛の効能があり、「杖忘れの湯」などとも尊称される。鉄分を多く含み、湧出直後は無色透明だが、空気に触れると酸化され褐色に濁る。

 大正初期に望岳台付近に丸谷温泉、現在の白金温泉辺りに畠山温泉があったが、大正15(1926)年の十勝岳大噴火で、二軒とも泥流にのまれて消失した。昭和25(1950)年8月再び温泉が湧出、当時の町長が、「泥の中から貴重なプラチナ(白金)を見つけた思いがする」と述べたことから「白金温泉」と命名された。数軒のホテル・旅館が営業している。

 ある時期、大雪山系には足しげく通った。姿見から旭岳には何回となく登ったし、旭岳温泉からロープウェイの下の道も歩いたが、花がけっこう咲いていて静かで楽しい道だった。旭岳~トムラウシ山の縦走は2回やったし、黒岳~旭岳も縦走した。トムラウシ温泉からトムラウシ山の往復登山は1回、最終の仕上げにトムラウシ山~オプタテシケ山~十勝岳を縦走、わが会心の山行の一つである。

 トムラウシ温泉から登って1日目は南沼でキャンプ、2日目はどこで泊まったんだろう、記憶が定かでない。トムラから十勝への縦走がおおきな目標であったことは間違いないが、ぼくの憧れはオプタテに立つことであった。「オプタテに登ってさあ・・・」という会話をするのが夢だったのだ。最終日、十勝岳から白金温泉に下り、湯船に手足を伸ばしたときの幸福感といったらない。これだから、山はやめられない。

 一般的には白金温泉に泊まった翌朝、車(タクシー)で望岳台まで送ってもらい、十勝岳山頂めざす。望岳台からの登路は火山活動のために緑が少なく、荒涼とした大地に黙々と足を上げていく。1時間の登りで美瑛岳への登路を分岐、すぐ先に避難小屋がある。水場がないので雪が消えてからの季節は水の用意が必要だ。

 避難小屋から先は足場が悪くなる。山頂が近づくと尾根が広がり、視界の悪いときは要注意だ。肩への急登を上り切れば山頂は目の前だ。相性のいい山と悪い山がある。トムラウシ山は相性の悪い山で、4回登ったが強風2回、雨1回、曇天1回、十勝岳は相性のいい山で、一度は無風快晴、あまりの居心地の良さに山頂で1時間のんびりしたことがあった。

 下山は美瑛岳を回った方が充実度は高いが、ガスに視界を奪われると方向を誤るから、十勝岳に初めての方だけのパーティだったら、往路を下山した方が安心だ。

                                                       2017.10.15 記




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