岩 崎 元 郎 の


 
   
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久住山と黒川温泉

 「九重山」と言うと、「久住山じゃないの」と問い返される。『日本百名山』の「九重山」の項に、「九重山は山群の総称であってその主峰は久住山」とある。「同じ発音を持つ九重と久住が、そんな分け前に落ち着くまでに、長い間山名の争奪戦があったそうである」と、深田久弥さんは述べられている。それにも関わらず、久住山と九重山の混用が現在でも続いている。ここでは深田さんの記述通り、山群の総称として九重山、日本百名山の一座は久住山と使い分けていく。

 はじめて久住山をめざしたときは勝手が分からず、1日目は長者原に泊まった。ミヤマキリシマの花期で、平治岳が全山ピンクに染まって素晴らしかった。地元の方に、「ミヤマキリシマが満開で素晴らしかったです」と言ったら、「去年は凄かった、去年に比べれば今年は半分だよ」と言葉が返ってきた。せっかくこっちが大満足しているのだから、水をかけるようなこと言わなくてもいいのにと憤慨した。

 2回目からは勝手知ったる九重山群になったので、1日目に法華院温泉まで入ることができた。法華院温泉山荘に泊まり、翌日久住山をめざすのが正しい?登り方だと思っている。速やかに登ろうと思ったら、牧ノ戸峠から山頂往復がお勧め。

 さて九重山、火山帯だから周囲は温泉だらけである。登山口周辺には必ず温泉があると言っても過言ではない。代表的な登山口である長者原周辺には、長者原温泉、寒ノ地獄温泉、星生温泉、牧ノ戸温泉など並んでいる。ここでは下って黒川温泉まで足を延ばし、一泊したい。

 さてさて、温泉に泊まって翌日登るか、下ってから泊まるように計画するか、ちょっと悩むところだ。日程の調整ができる限り、下ってから泊まる方がぼくの好みではある。登って下って、フィナーレは黒川温泉だ。1日目、長者原から法華院温泉山荘にむかってスタート。自然観察路を辿り、雨ヶ池越えを越して下れば広々とした坊がつる。一段上に法華院温泉山荘がある。長者原から約2時間。早くチェックインして、早く温泉にザブンといきたい。2日目は、南にコースを採り九重山群最高峰の中岳1791mに立つ。下って登り返せば山群の主峰久住山1786.8m、山荘から約3時間、主峰らしく堂々たる山容だ。

 山頂の憩いを満喫したら久住分かれに下り、西千里浜を横切り、約2時間で牧ノ戸峠に出る。峠から黒川温泉まではタクシーを利用した。黒川温泉は、阿蘇山の北に位置する南小国温泉郷の一つ、全国屈指の人気温泉として知られ、2009年にはミシュランで二つ星を獲得している。

 泉質は硫黄泉、温泉街の比較的浅い地層から、80度~90度の温泉が湧いている。田の原川の両岸に二十数軒の和風旅館が建ち並び、歓楽要素のない静かで落ち着いた雰囲気の町並みが続く。「街全体が一つの宿、通りは廊下、旅館は客室」、キャッチフレーズ通りの街並みで、そぞろ歩きが最高の温泉街である。

 温泉の入口でタクシーを降り、街並みをそぞろ歩く。このそぞろ歩きが黒川温泉の魅力の一つとあって、ウィークデーというのに人出が多い、ちょっとざわつく。訪問者数のコントロールなどが、人気温泉地のこれからの課題であろう。

                                                     2017.11.15 記




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