岩 崎 元 郎 の


 
   
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秦野・弘法山と鶴巻温泉

 秦野駅を起点にして、権現山から弘法山、吾妻山へと辿り、鶴巻温泉へと下る山並みを、渋沢丘陵の向こうを張って、秦野丘陵と呼んでみたい。渋沢丘陵同様、標高200m程度の連なりで、ファミリーで安心して歩けるハイキングコースだ。

 弘法山への登山道の入口まで、街中の道を辿るのは難しい。ここではガイドブックの記述をちょいとお借りする。「秦野駅北口から水無川沿いの道路に出る。この道を下流に向かって200mほど歩き、常盤橋で川を渡りすぐに右折して直進する。不二家レストラン前の信号に突き当たるので左折、河原町交差点を直進する。わずかに歩いた信号機右に大きく『弘法山入口』の看板が見える」

 登りはじめは急坂だから、歩幅を小さくゆっくり登ろう。ひと登りし傾斜が緩くなった先が浅間山の頂上だ。ここからは明るい雑木林の尾根道になる。コースはよく整備されている。もうひと登りすると権現山、標高244m、展望台が建つ草原状の頂上だ。展望台に上がれば、目の前に丹沢の山並みからその先に富士山が見え、目を南に転じれば相模湾も望める。権現山から石畳の階段を下ると、千本桜と呼ばれる長い桜並木になる。春には絶好のお花見ポイントとして多くのハイカーを迎える所だ。

 下り切った鞍部が馬場道分岐、登り返せば標高235mの弘法山頂上。鐘楼が建ち、「乳の水」と呼ばれる井戸がある。弘法山から善波峠、吾妻山へと尾根道を辿る。山頂から道標に従って下れば鶴巻温泉。

 温泉の泉質は弱アルカリ性塩化物泉。神経痛、筋肉痛、痔、血行障害などに効能がある。秦野市街にある小さな温泉郷だが、昨今住宅地や高層マンションが建設され、住宅地の中にある温泉街となっている。日帰り入浴できる弘法の里湯から、徒歩1分で鶴巻温泉駅だ。

 1998年、『いで湯を楽しむ100山』というガイドブックを数人で分担執筆して出版した。ぼくに与えられた一項に「弘法山と鶴巻温泉」があって、その項の冒頭に「現役時代の筆者にとって、丹沢といえば塔ノ岳、蛭ヶ岳、檜洞丸、畦ヶ丸であり、水無川流域や玄倉川流域での沢登りであった。たかだか二百数十メートルの弘法山など眼中になかったのが正直なところである」、と書いている。そのとき執筆のために登ったのが、はじめての弘法山だった。続けて「しかし、今回取材を目的での山行であったが、『山高きが故に貴からず、山緑をもって貴しとす』という言葉を、しみじみと味わうことができて、またまた山に登ることの幸福を感じているという次第」、と書いている。そんな山なのである、弘法山は。

 1998年、まだ50代前半のぼくの登山のメインは、バリバリ登る山であった。それから20年、ぼくも73歳、ぼくの登山パーティの平均年齢は70歳を越えていて、バリバリ登る山をめざすことなど不可、それでも山に登りたい。となれば、アップダウンが小さく、よく整備されたハイキングコースを探すことになる。下ればそこに温泉があることも必須条件である。弘法山は、古希を過ぎた山好きの理想的なハイキングコースといえる。東丹沢・鐘ヶ岳~広沢寺温泉、白山~飯山温泉、鐘撞堂山~かんぽの宿寄居など、弘法山に準じるコースだ。

                                          2018.11.15 記



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