岩 崎 元 郎 の


 
   
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栗駒山と須川温泉

 栗駒山は東北を代表する名山の一山である。標高1627.4m、山頂三角点は宮城・岩手県境に位置するが、山域は秋田県も含めた三県に広がっている。東面を流下する産女川を溯って頂きに立ったのが、ぼくの初めての栗駒登山である。当時、白水社から『日本登山大系』全十巻の刊行が企画進行していた。ぼくも編集同人の一人として参画していた。1980年7月10日発行の白水社新刊ニュース№420誌面には、「本邦初のバリエーション・ルート・ガイドの集大成!」と紹介されていたが、ぼく的にはオール日本のバリエーション・ルート・カタログと認識していた。

 第一回配本は1980年8月8日に「槍ヶ岳・穂高岳」、第二回配本は「北海道・東北の山」が予定されていた。バリエーション・ルート豊富な東北の山として真っ先に挙げられるのは、飯豊連峰であり、朝日連峰である。東北を代表する名山であり、太平洋と日本海を分水する脊梁山脈上の一座である栗駒山を落とすわけにはいかないが、同山をめぐるバリエーション・ルートの記録は皆無に等しかった。バリエーション・ルートのない山を登山大系に収録することはできない。栗駒山を収録したい一念で、栗駒山をめぐる沢登りに出かけた、というのが成り行きの真相である。その第一弾が産女川だった。ナメとナメ滝の連なるきれいな沢で、沢登りを存分に楽しめた。ツメの左岸には笊森避難小屋があり、快適な一夜を過ごすことができた。山頂までは1時間ほどの距離にある。山頂から岩手県側、北へ1時間半ほど下れば須川温泉だ。訪れたのは10月で、全山深紅に染まった秣岳がいまでも瞼に焼きついている。

 「栗駒」の由来は、雪解けの季節、山頂西側に馬の雪形が現れるから、とか。前述須川温泉のほか宮城県側には駒ノ湯、温湯、湯ノ倉温泉、湯浜温泉、新湯など温泉が点在し、栗駒山の魅力を高めている。登山コースは宮城県側から五コース、岩手県側から二コース、秋田県側から一コース挙げられるが、初めての栗駒登山にお勧めは、いわかがみ平から東栗駒山を経由して山頂に立ち、須川温泉へと下るコースだ。季節は紅葉の秋がベスト。

 中央コースと東栗駒コースの登山口になっているいわかがみ平までは、季節限定だがくりこま高原駅からバスがある。東栗駒コースは下半が新湯沢の楽しい沢登り、上半は展望の開けた東栗駒山の稜線歩きが爽快だ。約2時間で山頂に立てる。須川温泉までは、下り1時間半ほどである。須川温泉からは一関までバスの便がある。

 宿泊施設は、秋田県側に「栗駒山荘」があり、岩手県側に「須川高原温泉」がある。源泉は同じで、泉質は酸性、含鉄・硫黄‐ナトリウム‐硫酸塩・塩化物泉。案内には「こんな症状によく効きます」という項があって、「胃腸病、慢性婦人病、呼吸器病、慢性消化器病、慢性皮膚炎、高血圧症、皮膚病、筋肉痛、関節炎、くじき、痔疾、病後回復期、疲労回復期、健康増進、きりきず、やけど、糖尿病、月経障害、虚弱児童、運動麻痺、関節のこわばり」が挙げられていた。温泉の効能は成分によるだけではなく、自然環境によるところが大きい。須川温泉周辺の恵まれた自然は、ストレス解消に大きく作用するということだろう。

                                                         2019.1.15 記



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