岩 崎 元 郎 の


毎月1つ 技術をご紹介



 2月の技 2点確保
 


 
三点確保と言えば、岩登りの基本的な技術としてピーンとくると思うが、二点確保と言われてもなんのことか分からないと思う。ちょっと言葉が足りなかった。雪上歩行に際しての「二点確保」である。

 昨今、登山用具専門店では短めのピッケルを勧めているようだ。滑落の不安の無いような場所ではピッケルは不要、ダブルストックで歩いた方が楽ではないかと、急な雪面で滑落の不安を感じるような場所にきたらストックはしまってピッケルを出せばいいと、そんな場所では短いピッケルの方が有効であると、アドバイスしているようだ。それも一理あるしかし、ぼくはその考え方に与さない。

 ピッケルは非常に重要な装備だ。身体の一部になっていなければ、いざというときに用をなさない。初心者がピッケルを自分の身体の一部とするためには、四六時中ピッケルを手にしていることが必要だと、ぼくは思う。不要なところではピッケルを持たず、ストックで行動しているようでは、いつになってもピッケルは手に馴染まないだろう。例えば八ヶ岳、美濃戸口から美濃戸、赤岳鉱泉まで滑落の不安はない、ピッケルは不要だ。しかし、ぼくの登山教室では、初心者に美濃戸口からピッケルを手に持って行動して貰っている。ピッケルを持つという感覚を、手に覚えさせてほしいからだ。

 ぼくは昭和38年に昭和山岳会に入会し、本格的な登山の修行を開始したが、初めての冬山訓練で、新人にとってピッケルの第一の目的は「杖」としての機能だと教えられた。
 
 滑落の不安のない場所では、二点確保の必要はない。雪面が急になってきて、ここで滑ったらヤバイ、という状況になったら雪上歩行は二点確保で行動すること。両足でしっかり立って、進行方向にピッケルを差し込む。ピッケルと片足の二点で身体をブレないように確保し、もう片方の足を移動する。この繰り返しが二点確保による雪上歩行だ。ピッケルはなによりもまず杖として働いて貰う。短すぎるピッケルは杖として、用をなさない。


 ピッケルの使い方の第一は、杖として使いこなせるようになること、ピッケルを杖として、二点確保による雪上歩行がスムースにできるようになることだ。


                                                    

   


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